GE変更の個人的復習
先発品とジェネリック(GE)変更するか、薬局でよく聞かれると思います。
GEは開発期間がない分、基本安く同じ有効成分の薬になっているという利点があります。
飲みやすくしたり匂いを改善したりなど工夫がされていることも多いです。
元々販売されている先発品とは添加物が異なることがあり、
添加物にアレルギーを示す方もいますから、変えるかはご自身で判断していきましょう。
(AG)と呼ばれる、先発品メーカーが作るジェネリックも出ていることがありますから、ジェネリックに苦手意識があるけど気になっている場合は、AGを試してもいいかもしれません。
稀に先発品とGEで治す病気が異なっている場合があり、医療従事者は変更時一応注意しないといけませんね。
さて、毎回GEに変更できるかどうかのルールが曖昧になってしまう筆者。
まとめて復習致します…。
小出し疑問
①低血糖の時、ブドウ糖どれくらいのむの?
糖尿病治療薬に付き物な副作用である低血糖。
だるさや冷や汗、生あくび、酷い場合には昏睡に至ります。
そういった低血糖時の対策としてブドウ糖を持ち歩く事をお勧めされます。
ショ糖は分解する必要性があり、ブドウ糖の2倍摂取します。
※α-グルコシダーゼ阻害薬と呼ばれる種類の薬を飲んでいる場合は、ブドウ糖でしか効果がありません。
コカ・コーラやファンタなどのジュースもブドウ糖が多く含まれているため、350㎖1缶、500㎖ペットボトル半分以上飲むでもいいかもしれません。
その後10数分静養しましょう。それでも症状続く場合には再度ブドウ糖を摂取し、体調の様子を見ます。
それ以上は救急を呼びましょう。
②マスクって何歳から?
感染予防としてマスクをつける生活様式が定着しました。
では何歳頃からマスクはつけるべきなのでしょうか。
日本小児科学会では2歳未満の乳幼児へのマスク着用を避けるように提言しています。
気管が細くマスクによって窒息する可能性や、熱中症リスクが上がる為とされています。
それ以上の年齢に関しては、可能であればマスクを着用すると良さそうです。
2歳未満の乳幼児はこまめな手洗いなどその他の感染予防を徹底しましょう。
ちなみに、WHOでは12歳以上の小児からマスク着用を求めています。
③酸化マグネシウムの相互作用である大量のカルシウムってどれくらいの量?
マグミットなどの製剤がある酸化マグネシウムは大量のカルシウムと相互作用があると報告されています。
しかし、大量とはどれほどか明確な量は報告がありません。
500㎖/回、1ℓ/日くらいが大量であると考える報告が散見されました。
牛乳よく飲む方は減らすといいかもしれません。
普段から牛乳を飲まない方はそこまで意識しなくてよいでしょう。
なお、抗菌薬のニューキノロン系等ミネラルと相互作用あるものとは2時間以上あけましょう。
グレープフルーツジュースを飲まないでって言われるのはなんで?
血圧のお薬を飲んでいて、グレープフルーツジュースなど避けるように
言われたことはありませんか?
避けるように言われる理由は「相互作用で薬の効果が強まるから」です。
副作用リスクの問題ですね。
1.影響ある薬はどんなの?
相互作用のある薬は例として以下のものがあります。
※種類:成分名(商品名)
- 降圧剤:ニフェジピン(アダラート)、ベニジピン(コニール)など
- 高脂血症:アトルバスタチン(リピトール)など
- 抗てんかん薬:カルバマゼピン(テグレトール)
- 免疫抑制剤:シクロスポリン(ネオーラル)、タクロリムス(プログラフ)
上記以外にも多数の薬剤の効果が強まる可能性があります。
2.影響する理由は?
グレープフルーツに含まれている「フラノクマリン類」と呼ばれる成分が、
人間の小腸にある医薬品代謝酵素(CYP3A4)を邪魔します。
その為、分解されていた成分がグレープフルーツによって分解されなくなり、
多く吸収されてしまうことになります。
体内の薬の量が増えてしまう為、副作用のリスクが上がってしまうんですね。
グレープフルーツジュースを飲むだけでも、
数日は阻害効果が出ることもあるそうです。
3.他の果物はどう?
グレープフルーツ以外の柑橘や果物でも、相互作用が起こることがあります。
影響があるもの
[柑橘類]グレープフルーツ、だいだい、八朔、ポンカン、夏みかんなど
[その他]ザクロ、イチジクなど
影響が少ないもの
[柑橘類]温州ミカン、レモン、カボス、柚子など
[その他]リンゴ、ブドウなど
特に強力で身近なものがグレープフルーツである為、
よくグレープフルーツジュースは避けてって言われるんですね。
フラノクマリン類は果皮や果肉に含まれていることが分かっています。
影響ある食品のジュースやゼリーなどは、お薬を飲んでいる間避けましょう。
出典:大阪国際がんセンター、高の原中央病院DI、土谷総合病院、愛媛大学医学部付属病院薬剤部DI、Saita T et al. Screening of furanocoumarin derivatives in foods and crude drugs by enzyme-linked immunosorbent assay. Jpn. J. Pharm. Health Care Sci. 2006; 32:693-699、日本薬学会
お薬手帳ってなんで必要?
お薬手帳って何故持ち歩いてと言われるんでしょうか。
持ち歩いた方がいい理由は飲んでいる薬を知らせる為です。
①医療機関に使っている薬を知らせる
②緊急時、どんな薬を飲んでいるか、どんな疾患があるかを伝える
東日本大震災以来、お薬手帳の大切さは国や医療機関だけでなく、
様々な人々に広がっています。
普段から薬を飲んでいない方でも副作用の経験、アレルギーや血液型を記載して
お手帳を持ち歩くことで、急に医療機関にかかる際や事故の際に適切な医療を選択できるようになります。
相性の悪い薬を使用することや副作用の起こりうる薬を避けられます。
いつも同じ薬で同じ薬局だから持ち歩かないというのも、もしも倒れてしまった時に伝えられない為お勧めできません。
アプリのお薬手帳も出てて便利なので、スマートホンの方は利用するといいと思います。スマホを取り出せない時もあるので、お財布などに普段飲んでいる薬はメモを入れておいた方がより確実です。
お薬手帳を持ち歩くと5つのいいことを薬剤師会では提言しています。
薄いお手帳やメモですし、いざの時の為持ち歩く意識を!
なお、大きい声では言いにくいですが、3ヶ月に1回同じ薬局に行く際はお薬手帳があった方がお薬にかかる費用は安くなります(2020.12現在)
ワクチンが打てない時期?薬?
冬に入りインフルエンザワクチンや新型コロナのワクチン開発など、
ワクチンに関するニュースをよく目にします。
そこで、ワクチンと相性悪いことってどんなことか見てみましょう。
結論としては、気になることは主治医と相談ですね。
まず、ワクチン全般ですが、発熱、急性疾患が発症時は向いていません。
乳幼児はワクチンをうつタイミングがシビアです。今は予防接種カレンダーなどもありますから確認していただくといいかと思います。
参考サイト:日本小児科学会予防接種スケジュール
http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/vaccine_schedule.pdf
薬を飲んでいる場合は伝えましょう。
ここは基本の話。
ここからワクチンとの相性
インフルエンザワクチン→卵アレルギーの方✕
(卵アレルギーでも卵を食べられる方などは接種できますが確認しましょう)
インフルエンザワクチン作成時、鶏の卵を使用して製造する為卵タンパクが微量残像する影響です。
ちなみにインフルワクチンは不活化ワクチンであるため、妊婦さんも主治医に確認すれば接種可能です。
麻疹風疹などの生ワクチン
→妊婦✕ 免疫抑制剤服用している△or✕ 自己免疫疾患患者さん△or✕
妊婦さんでは生ワクチン接種による胎児への影響を無視できない為、基本接種できません。
ネフローゼや潰瘍性大腸炎、SLEなどで免疫抑制剤を服用している場合は、生ワクチン接種は向いていません。
例:ネオーラル(シクロスポリン)、イムラン(アザチオプリン)、高用量プレドニゾロンなど
※免疫抑制剤の量や免疫の程度などにより接種も可能な場合ある為、主治医に相談しましょう。
悪性腫瘍、原発性免疫不全症などの患者さんに関しては、細胞性免疫・液性免疫の何が低下してるかによって変わるので主治医に相談しましょう。
ちなみに、今話題の新型コロナのワクチンはRNAワクチンが主流で開発されているようです。(2020年11月現在)
生ワクチンではないので、薬との影響はどうなるんでしょうね。注目したいところです。
処方箋に期限があるの?
毎日、処方箋の有効期限切れの処方箋をお持ちいただくことがあります。
処方箋はその日に出すことも多いので、あまり有効期限を意識したことがない方も多いでしょう。
処方箋は貰ったその日を含めて4日間という期限があります。
これは法律決める時に、大体4日あれば土日挟んでも何とかなることや、診断してから日にちが経つほど病状に変化が起こりうることを考慮した有効期限日数になります。
なので、渡された日から割とすぐに薬局に出さないとなりません。
じゃあ、つい有効期限切れたらどうするのさ。と、思いますよね。
1日でも有効期限切れた処方箋は薬剤師から医師への確認を行わないとなりません。
そうしないと違法になるので、お薬を渡せません。
ここで医師が「有効期限延長していいよ」とおっしゃれば、お薬お渡しできます。
「その処方箋はもう無効です。一回受診してください」、「自費(10割負担)で再発行します」なんてこともありえます。
その時の病状に合わせたお薬ですから早めに薬局に出すのが無難ですね・・・。
薬剤師って薬を詰めてるだけ?
たまに薬剤師の業務について「薬を渡すだけの人」というイメージが挙がります。
患者様からよく見える範囲は基本窓口とお薬渡すところですから、そりゃそう思いますよね。
紙を出して待ったら薬が出てくる。薬局はそんな場所です。
もちろん、薬剤師として働いている身としては、そんなことはないですよと思います。
しかし、
サッカー選手を「ボールを蹴る人」
小説家を「文章を書く人」
と、言う位ざっくり言えば、薬剤師は「薬を渡す人」という表現ですね。
じゃあ実際何してるの?って話。
薬局薬剤師的に言うと、主にしてるのは
「この患者様にこの薬で、この量で問題ないのかな?」という確認作業をしています。
前と同じ薬でも患者様の体調悪くなってないか、前回のお話だとちょっと量を気を付けないとかも?みたいなことを繰り返してます。
もちろん医師の先生方が専門範囲のお薬を出されているので、過ちは基本的にありません。
ただし、Drも人間ですから他で飲んでる薬を知らなかったり、持病に向いてない薬を出してしまったりすることがあります。
それに気づくために薬剤師がいます。
薬剤師は「患者様が健康になれるために必要な正しい薬を、お渡しするためにいる」と思っていただけたら幸いです。
医師の先生に話したことを、薬局でまた話すのは億劫になるとは思いますが、
体調に合ってるか判断するためにお話し聞かせていただいています。
体調不良時に病院と同じ話をさせてしまい申し訳なくは思いますが…。
さて、話を戻してざっくり言えば、薬剤師は「薬の確認をしている人」なんです。
今後、そういうイメージを持っていただけるように、次では処方箋を出してからの流れでもお伝えさせていただこうかと思います。
長々と失礼しました。